むち打ちは、交通事故でよく見られる症状の1つです。
むち打ちは首周りの痛みや吐き気などを伴う事が多いのですが、完治率が比較的高い症状でもあります。それだけに交通事故の後に治療費打ち切りの話が出やすいので、注意が必要です。ただし、むち打ちに対する慰謝料は増額する事もできます。
ポイントは主に2つあって、安易に打ち切りにしない方が良いでしょう。また12級と判定されるかどうかがポイントになるので、画像などの証拠も必要です。
むち打ちという症状の特徴と治療費打ち切り
2つのタイプがあるむち打ちとその症状
むち打ちには、下記のような症状があります。
- 首周りの筋肉の痛み
- 吐き気
- 耳鳴り
- 頭痛
このような症状になってしまう原因は、もちろん交通事故による衝撃です。車が衝突した時に首が下から突き上げられてしまったり、首が後に傾いてしまうのが主な原因とされています。ある意味、首周りの骨や神経が強制的にひねられたような状態なのです。
このむち打ちという症状にも、2つの種類があります。1種類目は、急性期と呼ばれるタイプです。いわゆる一過性のむち打ちであり、症状はそれほど長続きしません。事故発生から72時間も経過すると、たいてい自然に治ります。
もう1つは慢性期のタイプです。交通事故のむち打ちは、たいていこのタイプになります。慢性的なむち打ちですから、症状はかなり長く続きます。個人差はありますが、完全に治るまでには半年以上かかるケースが多いです。
治る確率は比較的高いむち打ち
ところでむち打ちという症状は、完治率の高さに特徴があります。他の症状と比べれば、比較的治りやすい方なのです。
交通事故の症状は多彩で、打撲や切断もあります。手足の機能が失われたり、体の一部が切断されてしまうような深刻な状況もあります。切断ともなると、簡単には治るものではありません。
それに対してむち打ちの場合は、3ヶ月も経過すると症状が落ち着いてくる傾向があります。人によっては1ヶ月ぐらいで治ってしまう事もあります。
ただ、むち打ちの状況は多彩です。人によっては、半年ぐらい治療を続けても違和感が残ってしまうケースもあります。その場合は、後遺症も疑われるでしょう。
治療費を打ち切られやすいむち打ち
ところで交通事故の加害者側の保険会社は、治療費打ち切りの話を切り出してくる事があります。これ以上治療を続けても意味が無いので、そろそろ打ち切りにしましょうと言ってくるケースは多いです。その主な理由は売上数字です。
もちろん保険会社としても、売上数字は追求しています。被害者側に対して治療費を支払うのは、やはり保険会社にとっては大きな負担になってしまう訳です。その負担を抑える為に、打ち切りの話を出してくるケースが多いです。
とりわけむち打ちという症状は、やや分かりづらい一面があります。自然に治ってしまう事も多いですし、あまり深刻な症状でないように見えるので、治療費打ち切りの話も出やすいのです。

打ち切りへの対処法とむち打ちのデータ集め
むち打ちの打ち切りの話に安易に乗るべきでない
むち打ちは、比較的軽い症状ではあります。しかしポイントを押さえていれば、慰謝料の増額も期待できる症状でもあります。
ポイントは主に2つあって、まず1つ目は安易に打ち切りに乗らない事です。今まで交通事故を経験した事が無い方は、保険会社から治療費打ち切りの話を持ち出されると、つい応じてしまう傾向があります。
しかし打ち切りの話が出ても、すぐに応じるべきではありません。安易に応じてしまうと、面倒な状況になる可能性があります。
そもそも保険会社が打ち切りの話を出してくる時には、まだむち打ちが治りきっていないケースが多々あります。一見治っているように思われても、実際にはダメージが残っているケースもあるのです。治っていないにもかかわらず治療を打ち切ってしまえば、面倒な事態になりかねません。
むち打ちという症状は、確かに分かりづらい一面はあります。外から見るだけでは、後遺症が残っているかどうかも分かりづらいので、売上を追求している保険会社は打ち切りの話を出してくる訳です。しかし安易に治療を止めてしまえば、健康トラブルも発生しかねません。何よりも、保険会社からの支払いが止まってしまえば、被害者が自己負担する事になってしまいます。
打ち切りの話が出た時は、まず医療機関に相談する方が良いでしょう。治療を続けるべきかどうかを医師に確認するのが一番無難です。
むち打ちの増額の為にデータを集める
それともう1つのポイントは、証拠やデータを揃える事です。データが不足していると、本来よりも低い等級になってしまう傾向があります。
むち打ちという症状の場合は、後遺障害の等級は13級もしくは14級になるケースが多いです。あまり重い症状ではありませんから、等級も比較的軽めになる傾向はあります。
しかし人によっては、むち打ちでも12級と認定されているケースもあるのです。12級と認められれば、慰謝料も高くなってきます。ちなみに自賠責基準によると、各等級の慰謝料の相場は下記の通りです。
- 12級は93万円
- 13級は57万円
- 14級は32万円
12と14は3倍近い差がある訳ですが、どうすれば12級と認められやすくなるかと言うと、医学データです。レントゲンやMRIや医師見解など、客観的なデータが多く揃っている方が、12級と判定されやすくなる傾向があります。ですからむち打ちの慰謝料の増額を目指すなら、やはり病院に相談して検査を受けて、医師には診断書も書いてもらう方が良いでしょう。
むち打ちの申請は弁護士に依頼する被害者請求がおすすめの理由
交通事故のむち打ちの申請は被害者請求がおすすめ
ところでむち打ちで後遺障害の申請をする方法は、2つあります。
事前認定もしくは被害者請求です。むち打ちの場合は、前者の事前認定はあまりおすすめできません。
事前認定は、加害者側の保険会社に手続きを全て任せることになります。しかし上記でも少々触れた通り、保険会社は売上を最優先していますから、必ずしも良い結果に結びつくとは限りません。書類やデータの不備も多いです。
それよりも被害者請求で手続きを進める方が良いでしょう。保険会社には任せずに申請する訳ですが、レントゲンや診断書などのデータを集めやすいですし、慰謝料も高めになるケースがしばしばあります。
むち打ちは弁護士に依頼する方が良い
なお被害者請求にも2通りあって、全て自力で手続きを進めるか、弁護士に任せる方法があります。基本的には、弁護士に任せる方が良いでしょう。
弁護士基準が適用されるので、むち打ちに対する慰謝料も高めになる傾向があります。弁護士によるサポートを受けられるメリットも大きいです。

まとめ
交通事故の数ある症状の中でも、むち打ちは比較的軽い方ではあります。それだけに治療費打ち切りの話も出やすいのですが、やはり安易に打ち切らない方が良いでしょう。
慰謝料の増額を目指すなら、医学データなどは極力揃えるべきです。レントゲンや診断書などの書類は、できるだけ揃えるべきです。それに加えて、交通事故に強い弁護士に相談してみる方が良いでしょう。弁護士のサポートを受けられますし、相談がおすすめです。