交通事故が発生すると、よく弁護士への相談が検討されます。
弁護士に依頼するメリットは色々あり、交渉代行や交通事故のサポートなどを行ってくれるのです。しかし交通事故の被害者は、必ずしもお金があるとは限りません。
弁護士に依頼するにしても、費用はかかるでしょう。それだけに法テラスが検討される事もあります。確かに法テラスには費用立て替えなどのメリットがありますが、注意すべき点もあるのです。
法テラスの主な2つのメリットとは
法テラスは、費用が無い方々向けの法律支援機関になります。法テラスには主に2つのメリットがあって、弁護士への費用を立て替えてくれる上に、無料相談も受けられるのです。
前者の費用立て替えですが、そもそも弁護士に依頼するなら費用はかかります。成功報酬などを支払う事になるのですが、それも一時立替払いしてくれるのです。ただし収入や資産などに関する条件はあります。
なお立て替え払いになる以上、もちろん返済する必要があります。クレジットカードのように、後日に立て替え金額を支払う事になるのです。5,000円や1万円など、無理のない金額で返済していきます。
それと後者の無料相談ですが、法律事務所によっては相談料金は有料になっている事もあります。30分で数千円ぐらいかかってしまう法律事務所も、決して珍しくありません。しかし法テラスであれば、無料で相談できるのです。
1-2 法テラスを利用できる月収条件
ただし法テラスは、誰でも活用できる訳ではありません。収入に関する条件はあります。具体的には、下記のような条件があるのです。
- 1人家族なら182,000円以下 ただし家賃を支払っている時は約22万円以下
- 2人家族なら251,000円以下 家賃を支払っているなら約30万円以下
- 3人家族なら272,000円以下 家賃支払いがあるなら338,000円以下
- 4人家族は299,000円以下 家賃があるなら37万円以下
ですから2人住まいの家庭であれば、月収が約25万円以下なら法テラスを利用できる訳です。ただ、地域によって数字は若干異なります。大都市圏ですと、上記よりも基準額は高めになります。例えば1人家族ですと、大都市圏の月収目安は200,200円以下になります。
法テラスを利用できる条件と家族の資産
その他にも、資産に関する要件があります。
- 1人家族なら180万円以下
- 2人は250万円
- 3人なら270万円
- 4人は300万円
ですから貯金があまり多いと、法テラスを利用できないケースもあるのです。
ちなみに資産は、何も預貯金だけではありません。保有している現金も含めて、上記のような条件になるのです。また持ち家以外の不動産物件や、有価証券の価格も含まれます。ですから株券などを保有していれば、たとえ2人家族の資産額が235万円程度でも、法テラスを利用できなくなる可能性はあります。
法テラスのメリットと主な注意点
法テラスを利用する主なメリット
ところで法テラスには、下記のようなメリットがあります。
- お金がなくても依頼できる
- 分割で支払える
- 安くなる可能性も
1つ目ですが、無料で相談できるメリットは大きいです。
2つ目ですが、分割で小刻みに支払って行けるメリットがあります。月々5,000~1万円など、少額で費用を支払っていく事ができる上に、利息はありません。
そして3つ目ですが、法テラスに対する料金は下記の通りです。
- 実費25,000円
- 着手金64,800円
- 賠償額の10%
3点目ですが、例えば交通事故で慰謝料などが50万円支払われた時には、5万円ぐらい支払う事になるのです。したがって50万円の案件であれば、合計14万円ぐらいは支払う事になります。法テラス以外の方法で弁護士に依頼するよりは、料金は安い方です。
法テラスのデメリットや注意点
ただ法テラスには注意点もあります。例えば着手金です。
確かに法テラスを活用すれば、合計費用は安くなる傾向はあります。しかし「必ず」安くなるとは断言できません。法律事務所によっては着手金を無料にしていますが、法テラスではそのお金も支払う必要があるのです。着手金の金額は、案件次第です。請求額が50万円未満なら着手金は64,800円ですが、150万円なら約13万円になり、400万円なら約18万円といった具合になります。
それと法テラスには審査もあります。お金を立て替えてもらう事になる都合上、まず一旦は書類を提出した上で、審査も受ける事になるのです。審査結果が出るまでは、2週間から3週間ぐらいかかる傾向があります。
もちろん審査は、必ず通る保証はありません。相談者の状況次第では、審査落ちになる可能性はあります。ですが法テラスを利用せず直接的に弁護士事務所に依頼した時には、即日対応してくれるケースが多いです。
法テラスの専門性のデメリットと費用比較
法テラスの弁護士は交通事故に詳しいとは限らない
ところで法テラスには、専門性に関するデメリットもあります。必ずしも交通事故に強いとは限らないのです。
というのも法テラスは、たまたま窓口で相談した弁護士が対応する事になります。その弁護士は、必ずしも交通事故が得意であるとは限らないのです。当たった弁護士によっては、交通事故に慣れていないケースもあります。
ただし弁護士を自分で選んで、法テラス経由で依頼する事は可能です。例えば比較サイトや無料相談などを活用し、交通事故に強い弁護士を自力で見つけたとします。契約弁護士であれば、法テラス経由で依頼する事はできます。契約していない弁護士は、もちろん法テラス経由で依頼するのは不可能です。
法テラスと直接依頼の費用を比べる
とは言うものの、交通事故の手続きを進めるためには弁護士はほぼ必須です。保険会社との示談も代行してくれますし、慰謝料も高くなりやすいからです。
できる限り費用を節約したいなら、やはり「比較」すべきです。法テラスと直接依頼の両者をよく比べた上で、費用が低めな方を選ぶと良いでしょう。着手金などは差が付きやすいので、慎重に比較してみるのが無難です。
直接依頼か法テラスで迷った時の対処法
以上の点を考慮すると、お金が無い時は下記のような方法で弁護士に依頼するのがおすすめです。
- WEBで交通事故に強い弁護士を探す
- 法テラスと契約しているかどうかを確認
- 無料相談を受けて、直接依頼の金額見積もりを出してもらう
- 法テラスと直接依頼の金額を比較し、費用が安い方で依頼する
つまり費用を重視したいなら、まずは両者の料金を比較してみるのがおすすめです。ですが費用というよりも、交通事故にスピーディーに対処して欲しい時は、法テラスでなく弁護士に直接依頼すると良いでしょう。
まとめ
法テラスは、確かに費用の立て替え払いなどのメリットはあります。特に急いでいない時などは、法テラスも検討してみる価値はあるでしょう。しかし弁護士事務所によっては着手金を無料にしている事もありますし、必ずしも費用が安くなるとは断言できません。
審査もあるので、必ずしも利用できるとは限りません。
一番良いのは、やはり両者を比較してみる事です。無料相談を受けてみて、メリットがある方に依頼すると良いでしょう。