交通事故治療における整骨院と整形外科病院の違い:それぞれのメリットとデメリット

交通事故による怪我の治療を受ける際、主に「整形外科(病院)」と「整骨院」という選択肢があります。それぞれに専門分野や治療アプローチ、メリット・デメリットが異なるため、違いを理解して適切に選択・利用することが重要です。

目次

整形外科(病院)と整骨院:根本的な違い

まず、両者の最も基本的な違いを理解しましょう。

整形外科(病院)とは?

整形外科は、病院やクリニックに属する診療科の一つです。

担当者:医師(整形外科医など)

治療を担当するのは、医師免許を持つ医師(主に整形外科専門医)です。

主な役割:診断、投薬、注射、手術、検査

医師は、レントゲン、MRI、CTなどの画像検査や血液検査などを行い、怪我の状態を医学的に診断します。その診断に基づき、薬の処方、注射、手術といった医療行為、リハビリテーションの指示などを行います。

整骨院とは?

整骨院(接骨院とも呼ばれます)は、柔道整復師が施術を行う施設です。

担当者:柔道整復師(国家資格者)

施術を担当するのは、柔道整復師という国家資格を持つ専門家です。

主な役割:手技療法、物理療法、運動療法

柔道整復師は、主に骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷(肉離れなど)といった怪我に対して、手術をしない「非観血的療法」と呼ばれる方法でアプローチします。具体的には、マッサージ、関節の調整などの手技療法、電気や温熱・冷却などを用いる物理療法、運動療法などを組み合わせて、痛みや機能障害の改善を目指します。 ※骨折・脱臼については、応急手当を除き、施術には医師の同意が必要です。

できること・できないことの違い

最も重要な違いは、医師免許の有無と、それによって法的に許可されている行為の範囲です。

  • 整形外科(医師): 診断、投薬、注射、手術、レントゲン・MRI等の指示・読影、診断書・後遺障害診断書の発行が可能。
  • 整骨院(柔道整復師): 上記の医療行為(診断、投薬、手術など)は行えない。診断書(後遺障害診断書含む)の発行も不可。ただし、施術に関する証明書の発行は可能。

この違いが、それぞれの施設が対応できる怪我の種類や、治療における役割分担に影響します。

メリット・デメリット比較:どちらを選ぶべき?

それぞれの施設には、メリットとデメリットがあります。

整形外科(病院)のメリットとデメリット

メリット:診断の正確性、重傷・緊急時対応、薬・手術、診断書発行

  • 精密検査(レントゲン、MRI等)による正確な診断が可能。
  • 骨折、脱臼、神経損傷、内臓損傷など重篤な怪我や緊急性の高い状態に対応できる。
  • 痛み止めや湿布などの薬の処方、必要に応じた注射や手術が可能。
  • 保険請求や後遺障害認定に必要な診断書(後遺障害診断書含む)を発行できる。

デメリット:手技療法が少ない可能性、待ち時間・診療時間の制約

  • 治療が投薬や湿布、リハビリ機器中心となり、手技によるアプローチが少ない場合がある。
  • 待ち時間が長くなる傾向があり、診療時間も比較的限られていることが多い。

整骨院のメリットとデメリット

メリット:手技中心、通いやすさ(時間・頻度)、個別対応

  • マッサージや関節調整など、手技による施術を主体としていることが多い。
  • 夜間や土日も開いている院が多く、比較的予約が取りやすく、通院頻度を確保しやすい。
  • 一人ひとりの状態に合わせた、比較的丁寧で時間をかけた施術を受けやすい傾向がある。むちうちや腰痛など、事故で多い症状への対応経験が豊富な場合が多い。

デメリット:診断・医療行為の制限、診断書発行不可、保険適用の要件

  • レントゲン等の検査や診断、投薬、手術などの医療行為は行えないため、重篤な怪我の見落としリスクがある。
  • 診断書や後遺障害診断書は発行できない。
  • 自賠責保険等の適用には、事前に医師の診断を受けていることが望ましいとされる場合が多い。

状況に応じた選択の重要性

どちらか一方が絶対的に優れているというわけではなく、怪我の状態や治療の段階、個人のニーズに合わせて使い分ける、あるいは連携して利用することが賢明です。

交通事故後の医療機関選び:実践的なガイド

では、具体的にどのように医療機関を選べばよいでしょうか。

まず優先すべきは?症状に応じた初期選択

事故に遭ったら、まずご自身の症状を確認し、以下の指針で初期対応を判断しましょう。

強い痛み、骨折・脱臼の疑い → まず整形外科へ

意識障害、激しい痛み、大量の出血、手足の変形、明らかな骨折や脱臼が疑われる場合は、救急車を呼ぶか、直ちに病院(整形外科など)を受診してください。

むちうち、腰痛などの症状 → 整形外科受診後、整骨院も検討

見た目に大きな異常がなくても、首や腰の痛み、打撲、捻挫などの症状がある場合は、まず整形外科を受診し、レントゲン検査などを受けて正確な診断を受けることが最優先です。骨などに異常がないことを確認した上で、継続的な治療やリハビリのために整骨院の利用を検討するのが良いでしょう。

「併用」という選択肢とその効果

多くの場合、整形外科と整骨院を上手に併用することが、効果的な回復につながります。

整形外科:医学的管理(診断・投薬など)

定期的に整形外科を受診し、医師による診察、必要な検査、薬の処方など、医学的な管理を受けます。症状の変化や治療全体の方向性を確認します。

整骨院:機能回復サポート(手技・リハビリ)

整形外科での診断・指示に基づき、整骨院で手技療法や物理療法、運動療法などを受け、痛みやこわばりの軽減、可動域の改善、筋力回復といった具体的な機能回復を目指します。

整骨院選びで失敗しないためのポイント

整骨院を選ぶ際には、以下の点を考慮すると良いでしょう。

  • 交通事故治療の経験が豊富か
  • 施術者の資格や経験年数
  • 提供している施術内容が自分の症状に合っているか
  • 他の患者さんの評判や口コミ
  • 保険会社とのやり取りに慣れているか

整形外科と整骨院を「併用」する際の注意点

整形外科と整骨院を併用する際には、いくつか注意すべき点があります。

情報共有:医師・柔道整復師双方に伝える

最も重要なのは、整形外科の医師と整骨院の柔道整復師の両方に、互いの施設で治療(施術)を受けていることを必ず伝えることです。これにより、治療内容の重複を防ぎ、連携した適切なアプローチが可能になります。

保険会社への説明と治療の必要性

保険会社によっては、同期間に複数の医療機関にかかることを過剰診療とみなし、支払いを渋るケースも考えられます。併用する場合は、それぞれの施設での治療が医学的に必要であり、重複するものではなく、回復のために役割分担をしていることを明確に説明できるようにしておくことが重要です(医師の指示書などがあれば有効です)。

スムーズな連携のために心がけること

効果的な連携のためには、以下の点を心がけましょう。

定期的な医師の診察は継続する

整骨院に通っていても、必ず定期的に整形外科を受診し、医師の診察を受けましょう。医学的な観点からの経過観察と、治療方針の確認が不可欠です。

それぞれの指示・アドバイスを守る

医師からの医学的な指示(活動制限など)と、柔道整復師からの施術に関するアドバイス(セルフケア、運動など)の両方を守り、自己判断で行動しないようにしましょう。

整形外科と整骨院、それぞれの役割と特性を理解し、必要に応じて連携・併用することで、交通事故による怪我からのよりスムーズで効果的な回復を目指しましょう。

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