交通事故の示談交渉:整骨院での治療経過の影響

交通事故による怪我の治療が一区切りつくと、多くの場合、加害者側の保険会社との間で「示談交渉」が始まります。この交渉は、被害者が受け取る賠償金の額を決める重要なプロセスです。整骨院での治療経過も、この示談交渉に影響を与えることがあります。

目次

示談交渉とは?基本的な流れを知る

まず、示談交渉がどのように進むのか、基本的な流れを理解しておきましょう。

いつ、どうやって始まる?交渉のタイミングと開始

示談交渉は、通常、交通事故による怪我の治療が終了した(治癒した)時点、または、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない「症状固定」と医師が判断した時点から開始されます。被害者側(または代理人の弁護士)から加害者側の保険会社に対し、損害賠償請求を行うことで交渉がスタートします。

交渉で話し合われること:損害賠償の内容

示談交渉では、事故によって被害者が被った様々な損害について、その賠償額を話し合います。主な損害項目には以下のようなものがあります。

治療費(整骨院含む)、交通費など

病院や整骨院での治療にかかった費用、通院のための交通費、診断書等の文書作成費用など、治療に直接関連する費用です。

休業損害

事故による怪我のために仕事を休まざるを得なくなり、収入が減少した場合の補償です。

入通院慰謝料、後遺障害慰謝料など

事故による精神的苦痛に対する慰謝料です。入院や通院の期間・日数に応じて算定される「入通院慰謝料」や、後遺障害が認定された場合に支払われる「後遺障害慰謝料」などがあります。

これらの損害項目について、具体的な金額を算出し、その根拠となる書類(領収書、証明書など)と共に保険会社に提示します。

交渉のプロセス:請求から合意(和解)まで

被害者側から損害賠償請求を受け取った保険会社は、提出された書類を審査し、場合によっては独自の調査を行った上で、賠償額の提示(多くの場合、被害者側の請求額より低い金額)をしてきます。ここから本格的な交渉が始まります。双方が提示額やその根拠について意見交換や反論を繰り返し、最終的に合意できる金額を探っていきます。双方が合意に至れば「示談(和解)」が成立し、示談書を取り交わした後、賠償金が支払われます。もし交渉がまとまらなければ、裁判(訴訟)などの法的手続きによって解決を図ることになります。

整骨院での治療経過は示談交渉にどう影響する?

整骨院での治療内容や期間は、示談交渉、特に慰謝料の金額などに影響を与える可能性があります。

治療期間の長さ:重症度と慰謝料算定への影響

保険会社は、整骨院を含む治療期間の長さを、怪我の重症度を判断する一つの指標として見ることがあります。医学的に必要と認められる範囲で治療期間が長ければ、それだけ怪我が重く、回復に時間を要したと判断され、入通院慰謝料が増額される方向に働く可能性があります。

施術記録の重要性:客観的な証拠としての価値

整骨院での施術記録は、示談交渉において重要な証拠となりえます。

具体的な施術内容と頻度

どのような施術を、どれくらいの頻度で受けたのかという記録は、治療の必要性や妥当性を裏付ける資料となります。

症状の改善度合いや機能回復の記録

施術によって痛みがどのように軽減したか、関節の可動域がどれくらい改善したかなど、具体的な回復状況を示す記録は、治療の効果を客観的に示し、交渉を有利に進める上で役立ちます。

注意点:治療の必要性と相当性

ただし、注意も必要です。整骨院での治療期間があまりに長すぎたり、通院頻度が過剰であったり、あるいは事故による怪我との関連性が薄いと保険会社に判断されたりすると、その部分の治療費や慰謝料算定期間としての妥当性に疑問が呈され、支払いを拒否されたり、減額されたりする可能性があります。そのため、整骨院での治療が「医学的に必要」であり、「相当な範囲内」で行われ、かつ「回復に貢献している」ことを、記録などを通じて示すことが重要になります。

適正な示談金を獲得するための戦略

納得のいく示談金を獲得するためには、戦略的に交渉に臨むことが大切です。

まずは証拠固め:関連書類を徹底的に収集

示談交渉の基礎となるのは、損害を裏付ける客観的な証拠です。

医療関係(診断書、明細書、施術証明書など)

医師の診断書、病院の診療報酬明細書、整骨院の施術証明書・明細書、薬代や装具代の領収書などを漏れなく集めます。

損害関係(休業損害証明、領収書など)

休業損害証明書、源泉徴収票、通院交通費の記録・領収書、車の修理見積書・領収書など、賠償請求の根拠となる書類をすべて揃えます。

交渉の準備:自分の権利と請求額の根拠を理解する

収集した書類に基づき、どのような損害項目について、いくら請求できるのか、その法的な根拠(慰謝料の算定基準など)は何かを事前に理解しておくことが重要です。これにより、保険会社の提示額が妥当かどうかを判断できます。

交渉を有利に進めるためのポイント

実際に交渉に臨む際には、以下の点を意識しましょう。

弁護士への相談を検討する

後述するように、示談交渉においては弁護士に相談・依頼することが非常に有効です。特に、請求額の算定や交渉戦略についてアドバイスを受けるだけでも有利に進められる場合があります。

安易に最初の提示額を受け入れない

保険会社が最初に提示してくる金額は、多くの場合、保険会社独自の基準(任意保険基準)や自賠責基準に基づいており、弁護士(裁判)基準よりも低いことが一般的です。提示された内容をよく吟味し、安易に同意しないことが大切です。

粘り強く交渉する姿勢

示談交渉は、一度で終わるとは限りません。正当な権利を主張し、納得できる金額に達するまで、根気強く交渉を続ける姿勢が求められることもあります。事故が自身の生活や仕事、精神面に与えた影響を具体的に伝えることも重要です。

示談交渉で弁護士に依頼するメリット

示談交渉はご自身で行うことも可能ですが、交通事故に詳しい弁護士に依頼することで、多くのメリットが期待できます。

専門家による的確なアドバイスとサポート

弁護士は、法律や過去の判例に基づき、あなたのケースにおける適正な賠償額を算定し、法的な観点から的確なアドバイスを提供します。複雑な手続きや書類作成についてもサポートを受けられます。

交渉代行による精神的・時間的負担の軽減

保険会社との交渉は、専門用語が多く、精神的にも時間的にも大きな負担となることがあります。弁護士に依頼すれば、これらの交渉をすべて代行してもらえるため、被害者は治療や生活の再建に専念できます。

より高額な示談金を獲得できる可能性

弁護士が介入することで、いくつかの理由から、より有利な条件での示談が期待できます。

請求漏れを防ぎ、適正額を算定

被害者本人では気づきにくい損害項目まで含めて請求し、最も有利な弁護士(裁判)基準に基づいて慰謝料などを算定するため、請求額自体が大きくなる可能性があります。

弁護士基準での交渉が可能に

保険会社は、弁護士が相手であれば、裁判になる可能性も考慮して、弁護士(裁判)基準に近い金額での和解に応じる傾向があります。統計的にも、弁護士が代理人となった方が、被害者本人が交渉するよりも高額な賠償金を得られることが多いとされています。

弁護士費用が心配な場合でも、前述の「弁護士費用特約」が利用できれば、自己負担なく弁護士に依頼できる可能性があります。示談交渉に不安がある場合や、提示額に納得できない場合は、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

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